庭を後にし、一限の講義室へ向かっていると、

「本城さん、おはよう」

全身ブランド品だとわかる服やアクセサリーを身にまとった男が挨拶をしてきた。


彼の名は横井 太一(よこい たいち)。大手企業の社長の一人息子で、そこそこのイケメンである。

しかし、琴音にとっては会いたくない人間No.1である。

理由はわからないが、琴音に一目惚れしたと言って彼女に求愛やら贈り物やらことある事に会いに来ることにうんざりしていた。

今はまだ朝の読書に邪魔しに来たことはないが、もし、そこまでも侵されようものなら琴音はストレスで発狂するだろう。