大学の中に小さなヨーロッパ風の庭がありその真ん中には一際大きな木があった。

朝早くに大学に来るような変わり者は基本居ないため、もちろんその庭にも人影はなかった。

琴音はこの静かな空間で木の下に座って本を読むことが大好きだった。


琴音が木の下に腰を下ろし本を開くと、


カサッ


と、何かが動いたような音がした。

琴音は気になり、周りに視線を巡らせた。

そして、自分とは木に対して真逆の位置に寝ている人を見つけた。

琴音は起こさないようにそっと近寄った。