それからだ。私が体育館を見つめるようになったのは。


いや、体育館をじゃない…あの男子生徒の事を…か。



彼の存在に気が付いてから、すぐに名前は分かった。



名前は神白千秋、私と同じ一年生だ。



何故すぐに名前を知る事が出来たかというと、彼は校内でも一位二位を争うほどのイケメンだととても有名だったから。



いつも女の子から熱い視線を受けているのに、それとは対照的にとてもドライな性格として有名だった。


だけれど、そんな人気者の男子相手に…ただの一般人のわたしが話しかけられるわけもなく…



いまだにあの時の彼が神白千秋だったのかは確認出来ていない。



だけど、噂を聞く限り…女子には興味が無くそれどころかとても冷たくて、彼目当てで所属しているバスケ部のマネージャーに女の子が入ってきた時キツイ事を言って泣かせたとかなんとか…



そんな人が果たしていくら具合が悪かったとはいえ、抱き抱えて病院まで送ってくれるのだろうか…そんな疑問が私の中にシコリを残して未だ彼に声をかける事が出来ていないでいた。