50メートルぐらいは住宅街で、その先は商店街になっている。
八百屋、洋服屋、魚屋、花屋など、いろんなお店が並んでいる。

「ここが○×町商店街。大抵のものはここで揃う」

相変わらずな話し方で蓮は説明し、美由希はきょろきょろと辺りを見回した。

（商店街ってあまり来たことないから、なんか新鮮……！）

「おっ、蓮くん。おつかいかい？」

青いゴム製のエプロンをつけた魚屋のおじさんが、蓮に声をかけた。

「そうですけど、今日はおでんなので何も買ってやれませんよ」

「そりゃーないよぉ。……あれ。その女の子は蓮くんの友達かい？」

おじさんが美由希に気づき、美由希は慌てて挨拶をする。

「こ、こんちには！」

「母さんの知り合いの子の美由希。今日からしばらくの間、家に住むことになったから」

魚屋のおじさんと別れてからも、蓮は他のお店の人から声をかけられていた。

（こんなに無愛想でも、結構顔が広いのかな……？）

隣を歩く蓮の凛とした横顔をちらりと見ながら、美由希は首をかしげた。