三月のバスで待ってる




ピピピピ、というアラーム音が、まるで警告のように耳に響いた。

起きたくないけれど、無理矢理目をこじ開ける。

窓の外を見るとまだ雨は静かに降り続いていて、余計に重い気持ちに拍車をかけた。

「……はあ」

思わずため息をこぼす。過ぎていく時計の針を眺めながら、ぐずぐずしていちゃダメだ、と自分を戒めて体を起こした。

昨日は帰ってすぐに自分の部屋にこもった。お母さんが心配そうにしていたけれど、部屋から出る気にはなれなかった。

どうしてこんな思いをしてまで外に出なくちゃいけないんだろう。

外に出れば、必然的に悪意の目に晒される。またあの苦痛の時間が戻ってくる。全身を針で刺されるようなあの苦しみを味わうなら、もう2度と外になんて出たくない。

でもーーとわずかに残っている理性が、私の体をまるでそうする義務があるかのように突き動かす。

やっぱり、行かなきゃ。

また学校を休んだりしたら、お母さんを心配させてしまう。もうこれ以上、私のことで心配も迷惑もかけたくない。