私の中の一番古い記憶は、3歳の夏に、庭のビニールプールで、圭吾と水遊びをしたことだ。

そこには一緒に、互いの両親もいて、きゃっきゃと水しぶきを浴びてはしゃぐ私たちを、4人の大人たちが笑いながら見守っていた。


私と圭吾の家は、新興住宅街の、隣同士にあった。


子供の年齢も、夫婦の年齢も、引っ越してきた時期も同じ隣人同士が、ひとつの家族のように仲よくなるのに、時間はかからなかったのだろう。

私と圭吾も、時には兄妹のように、2組の夫婦に、分け隔てなく育てられた。



それから時は過ぎ、私たちが小学6年になった冬。



その頃には、子供が大きくなったからか、隣人同士の交流も昔ほど頻繁ではなくなっていた。

私と圭吾も、それぞれに友達ができ、顔を合わせてもあまり喋ることはなくなっていた。


でも私は、圭吾のことが好きだった。



「沙奈ちゃん、それ、告白した方がいいと思うよ」


ある日、仲よしの美樹ちゃんは、圭吾とのことを相談した私に、迷うことなくそう言った。