【短編】澱(おり)



山西くんとは、駅で待ち合わせた。


私が5分前に到着すると、山西くんはすでにそこで待っていて、「緊張して早く着きすぎちゃった」と笑った。

くしゃくしゃな顔をして笑う人だなと思う。



「どこ行く?」

「山西くんに任せるよ」

「じゃあ、無難に映画ってことで」


そう言って、スマホの画面を見せられた。



「この映画、今一番人気なんだって。友達から聞いたんだけど。どう?」


スマホの画面に映し出されているのは、海外のアクションエンターテインメント。

映画にも、アクションにも興味はなかったが、任せたのは私だし、どうやら事前にリサーチしてくれているらしいので、文句は言わない。



「俺もこういう映画すごい好きなんだよな。ド派手なやつ」

「いいと思うよ」


私が返した瞬間、山西くんの顔はぱあっと明るくなり、「行こうか」と言われた。

喜怒哀楽のわかりやすい人だ。


私も笑い、「行こうか」と同じ言葉を返した。