翌朝、起きた時にはすっかり雨は上がっていて、一緒に眠っていたはずの圭吾もいなくなっていた。


何だか昨日のことが夢のよう。

だけど、体の痛みは、紛れもない現実だったと教えてくれる。



4年前に迎えることができなかった2月14日から、私は時間を進めなくちゃいけない。



「ねぇ、あの日、あのあと、圭吾くんとどうなったのよぉ」


月曜日の放課後。

結衣はしつこくそればかり繰り返す。



「幼馴染だったわけでしょ? 仲直りした? もしかして話が盛り上がってそのまま付き合っちゃったり!?」

「バカ言わないで。電話番号すら聞いてないよ」

「えー!? じゃあ、まさかあのまま喧嘩別れ!?」

「だからぁ、そういうことじゃなくて。説明するのは難しいけど、とにかくもう大丈夫だから」


ひとつも要領を得ていない私の言葉に、結衣は「意味わかんない」と不満顔。

だけど、私は、もう大丈夫なのだから、そう言う他にない。


結衣と話しながら駅構内に入ったところで、



「あのっ!」


と、背後から声を掛けられた。


振り返ると、そこには他校の制服を着た男子が。

誰だかわからなくて、結衣の知り合いだろうなと思ったのだが、しかし彼はなぜか私の前に立った。