今朝の寝覚めは最悪だった。

どんなに過去を忘れたいと願っていても、夢で見て思い出してしまうのだから。


もう4年も前のことだというのに。



「沙奈、どしたの? 顔色やばすぎだよ?」


どうにか登校して、自席でうなだれる私を、結衣は怪訝に見る。



「体調悪いの? 風邪? インフルかもしれないなら近付かないでね」

「ひどいなぁ。別にそんなんじゃないよ。朝から遅刻しそうでバス停まで猛ダッシュしたから疲れてるだけだし」

「へぇ。寝坊? 珍しいね。夜中に悪いことでもしてた?」

「夜中に悪いことしてんのは結衣でしょ」


言ってやると、結衣は「えへへ」と笑って見せる。

相変わらずだなとは思ったけれど、でも今は突っ込む気力もない。


目を閉じると、今朝の夢が残像のようにまぶたの裏に残されたまま。