翌、土曜日。

寝ぼけまなこで起きると、リビングで母がバタバタと出勤準備をしていた。



「あ、おはよう、沙奈。お母さん、もう行くね。それから前にも言ったと思うけど、今晩は部署の飲み会があるから、悪いんだけど晩ご飯ひとりで食べてちょうだいね」

「わかってるよ。いってらっしゃい」


荷物片手に玄関を出る母を見送る私。



母は、昔はスーパーでレジ打ちのパートをやっていたが、離婚後に営業職の正社員に転職した。

これがなかなか性に合っていたらしく、何だか楽しそうに働いている。


未だに過去を引きづったままの私とは大違いだ。



休日だからといって特にすることもないまま、私はパジャマのままにソファに崩れ、再び目を瞑った。



思い出すのは、圭吾のこと。


私の中ではずっと小学6年生のままだった圭吾が、突然、高校1年生の姿になって、目の前に現れたのだ。

そりゃあ、頭も心も追い付かなくて、現実を受け入れられるわけもない。