痛いところを突かれてしまった。


確かに私は、あれ以来、誰かを好きになるだとか、恋人を作るなんてことを徹底的に避けて生きてきた。

永遠の愛を誓ったはずの夫婦でさえ相手を裏切るのだから、私が恋愛なんてする気にもなれないのは当然だろう。



「圭吾くんもさ、一緒なんじゃない?」

「……圭吾も?」

「女関係がだらしないってやつ。圭吾くんってさ、くる者拒まずで誰とでもヤルけど、誰にも心を開かないし、誰かと付き合ったりもしないんだって」

「気持ち悪いよ。それのどこが私と一緒なのよ」

「だからぁ、トラウマとの向き合い方は違ってても、ふたりとも今も同じ傷を抱えてるってことじゃん?」


結衣が何を言っているのかわからなかった。


4年前までは、私は誰より圭吾のことを知っていたはずだった。

だけど、今の圭吾は、他人よりも遠い人。



「沙奈さぁ、前に言ってたよね。『私は一生結婚しない』って。『バリバリ働いていっぱい稼いでひとりで生きていくから、そのために今はしっかり勉強するんだ』って」

「今でもそう思ってるよ」

「でも私は、ひとりで生きていくなんて寂しいと思うよ。沙奈にはそんな風になってほしくないとも思ってる」

「私の人生だよ」

「うん。でも、沙奈は大事な友達だから、私だって心配してんだよ」