海彩はクッキーを受け止めるとその場に倒れてしまう

俺は素早く海彩を抱き優しく地面に下ろした






風島を睨みつける
初めて見たであろう、俺の〟もうひとつの〝顔に風島は体を強ばらせた

間髪いれずに壁に追い詰める




『お前、俺は昨日忠告したよな
行き過ぎた愚行は慎めと』

「は、はい…っ
しかしあの女がっ」

『そうか、海彩に怪我を負わせた挙げ句に〝あの女〟呼ばわりか
どうやら俺を怒らせるのが得意みたいだな

風島咲炎、生徒会執行部をやめてもらう
一週間の停学処分とする
今後このような事があれば警察につき出すかマスコミに売るぞ』



風島は逃げるように出ていった

海彩が危ない
毒入りのケースは少なくない
早く対処をしなければ



再び抱き上げるとゴトという音と共に海彩の口からクッキーが転げ落ちてきた

!?



『ごほっごほっ、くそ!
風島め…。このクッキーは手作りか!ちゃんと混ぜたのか!?想像を絶する固さだぞ!礼王さまの歯を砕けさせる魂胆なのか!?』

「海彩、大事ない?」

『礼王様!風島はクッキーの社長令嬢でありながらクッキー1つまともに作れませんよ!
またやられたら困るから彼女にソフトクッキー教室を開く許可を…!』

「そんなことより海彩は大丈夫なの?」

『クッキーがあまりにも固く、喉を通過する前に喉が通行を拒否しましたのでこの通りです!
クッキーごときにやられてたまりますか!』

「…」













この話はちょっとお金持ちの子息が通う寮生のラブコメである