背負った運命

その男の返答に、困惑の表情を見せる8人。

「どういうこと...？」

絞り出された言葉は、その一言だけだった。

「簡単な事よ。お前達には、決して呪いなど

掛けられられてはいない。」

男が放った言葉に、言葉が出ない8人を尻目

に男は言葉を続けた。

「お前達は神子と呼ばれているのだろう？

お前達人間の言う神子とは"先祖返り"の事

だ。」

「先祖...返り？」

「そうだ。お前達、8人、先祖返りをなした

者は、ある凶悪な者と戦い封印する運命にあ

る。その封印の際、代償とする物は封印者

の命。それは、免れることの無い運命だ。」

「なっ...そんな事ある？じゃあ、じゃあ私達

は、ずっと、ずっと、その化物を封印する

為だけに生きてきたの？どうして！？ねぇ！

どうして、私達なの...？」

楓莱の言い分は最もだった。彼女の叫びには

8人全員の想いが詰まっていた。

そんな楓莱に楓が続けた。

「先祖返りをなした者はって言ったよね。

僕達の代には他にも先祖返りをなした者が

いる。それなのに、僕ら8人である必要は

何処にあったの。」

そう。男は言った。"先祖返りをなした者は"

と。先祖返りをなした者と言うのであれば、

8人だけで無くともいい筈だ。

問われた男は表情を変えずに答えた。

「本来ならば、死ぬ筈では無かったのだ。」