背負った運命

彼女は、柄に金と紅で彼岸花が彫り込まれた細身

の刀を鞘に収めた。その次の瞬間、彼女の後ろか

らもう一体の鬼が彼女目掛けて腕を振り下ろそう

としていた。鬼は二体存在したのだ。しかし、当

の本人である輝夜は涼しい顔で鬼を見ていた。

3人が

「何をしているんだ!早く逃げてくれ!」

そう叫んでも輝夜は一歩も動かない。焦って結界

から出ようとした。出れなくても、一瞬でも鬼の

意識がこちらに向けば良いそう思って内側から手

が折れそうになるほど必死に叩いていた。

彼らは忘れていたのだ。もう1人の存在を。

鬼の腕が彼女に向けて振り下ろされ3人が目を見

開いた。

"もう、駄目だ"

「もーらい!」

ザシュッと血が噴き出した。

先程よりも目を見開き3人は膝から崩れ落ちた。

「あ...ぁっ」

「かーぐーやっ。生きてるかー?」

「当たり前でしょう。この程度で死んだら、"紅の

双子"は名乗れない」

降ってきたのだ、空から。大剣を持った神楽が。