背負った運命

一方2人は、恐がる様子もなくただ冷静に相手を

待つ。そして地面の揺れが止まると、すぐ側まで

来ていた。その体からは気がおかしくなるほどの

瘴気が流れ出ていた。結界の中にいる3人には、

何の影響もない。しかし、外にいる2人は.....っ

そう思いはっと顔を上げた。

「っ...」

3人は見てしまった。自分達を食べる為にこちら

を、ゾッとするような笑みを浮かべた表情で結界

に張り付いている"鬼"の姿を。

あの2人はどうしたのだろうか....まさかっ!

そう思い周囲を見渡すが誰も居ない。しかし、結

界は消えていない。通常、術者が死ねばその術は

解除される。2人が張った結界がまだ消えていな

いということは、2人はまだ生きている…!

それが分かったところで、現状は変わらない、そ

れどころか恐怖心ばかりが増していく。

結界を破ろうと鬼が腕を振り上げ、振り下ろされ

るその瞬間

「っ.....え?」

真っ赤な液体が、当たり一面に広がった。

ゴロッ音を立てて転がったのは鬼の頭。その後ろ

に立っていたのは、血に濡れた輝夜だった。