背負った運命

「どこに居る?」

神楽がそう尋ねると、彼女は

「ちょうど真ん中にいるわ。それと、あれは草竜

ではないわね。恐らく何者かの幻術で、草竜のよ

うに見えるのでしょう。」

「そうか。正体は何か分かるか?」

「恐らく、"鬼"でしょうね。」

「...お前ら、騒ぐなよ。あいつらは耳が良い。

少しでもでかい音を立てたら、殺しに来るぞ。」

思わず声を上げそうになった口を手で押さえた。

"これから少しずつ近づくぞ"

脳内に響いてきた声に目を見開く。

すると、神楽は人差し指を立て唇に当て不敵に笑

った。鼻血が出そうなほど美しい顔で。

その笑みに気を取られ、足元への注意が向いてい

なかった。足先で小石を蹴ってしまったのだ。

それを聞いて、輝夜と神楽は3人に結界をはり、

互いに背を預け、戦闘態勢に入った。

瞳を閉じ、神経を尖らせる。

すると両サイドから近づいてくる音が聞こえた。

今は、聖獣の力を憑依させている為聴覚は、人外

である。

ゆっくり、地面を揺らし近づいてくるそれに、3

人の兵士達は震えが止まらなかった。