背負った運命

「おい、お前ら。大した実力もねぇのに人のこと

馬鹿にすんじゃねぇよ。」

「馬鹿にしてぇんなら、あいつら越えてからにし

ろ。」

静かな、けれど威厳ある声で誰かが言った。その

声はこの静かな路地には充分過ぎるほど響いた。

「なっ!何故貴方たちが此処にいるんですか!?」

そう、その声は今此処にはいないはずの、最年少

でこの国の騎士団長と魔法師長なった2人だった

「そんな事はどうでもいい。」

「それよりも、相手の実力を見極める事もできず

に、馬鹿にしたお前らの方が問題だ。」

「で、ですが!あの2人からは魔力を感じなかっ

た!つまり魔力はほとんど無いはずでしょう!」

「言い訳すんじゃねぇよ。」

「最初にお前らが入って来た時に言ったよな?

"己の心と相手の心に向き合え"って。それは何も

味方だけじゃねぇよ。」

「敵であろうと味方であろうと、その行動には

意思がある。それを本当に理解できずに、相手を

捕らえる、ましてや殺すなんて事あってはならな

い。」