迫る琢磨になんと答えたら良いか、後退りしながら千夏は必死に考えていた。
「…………」
「千夏、俺に嘘が通じると思ってるのか?
怒らないから正直に話してごらん?」と言って、琢磨は優しく微笑んだ。
(これ、マジでヤバイ…
チーフの家に行って寝たけど…ただベットを借りただけだし…多分…
でも、そんなこと琢兄達には言えないし…
どう話したら琢兄は信じてくれる…?
あっ!取材に行ってた?…いや、私が取材班じゃない事は知ってるし…
じゃ、会社の外で同僚の相談にのってた?…
これだ!これなら信じてくれるかも?)
千夏が考えあぐねていると、木ノ下が助け舟を出そうとした。
「彼女は私の…」と木ノ下が話し始めたのを、千夏は慌てて遮った。
(冗談じゃ無いわよ⁉︎何話すつもりなの⁉︎
さっき私に言った様に、疑いを招く様な事絶対言わせない‼︎)
「チーフ!
これは家族内の事なので、黙ってて下さい!」と言って千夏は木ノ下を睨み、そして琢磨には同僚と食事には出かけたと話した。
(ここ迄は大丈夫。本当の事だもん!
チーフだって…今はまだ同僚だしね?
ホントは違うけど、どうせお兄ちゃん達は知らないだろうし!
このまま上手くいけば、お兄ちゃん達の怒りもおさまる筈)
琢磨は更に千夏との距離を縮め様と、一歩、更に一歩と近づいて来る。
「同僚と食事?で、その後は?」と言って琢磨は微笑み、更に一歩千夏へと近づいて来た。それと同時に千夏も一歩後ずさった。
「なぜ逃げる?」
「に、逃げて無いよ…
あんまり近いと話しづらいから…
えーと、…食事を済ませた後はカフェで同僚の相談にのって…
あっ相手は女の子だからね!誤解しないでね?
そ、それから少し二人で公園をブラブラして…
コンビニに寄って、会社に戻って来ました…
その後はずっと仕事してたよ…」
「千夏‼︎」
「はっはい!」
今迄微笑みを見せていた琢磨が、急に声を荒げ千夏の名前を呼んだ為、千夏は身を縮めた。

