千夏はドアの前で右頬を1発叩き自分に喝を入れると、いつもの様にノックも無しに勢いよく部屋のドアを開けた。


「おじいちゃん先生!生きてる?」


こんな失礼極まりない千夏の物言いにも、いつも笑顔で迎えてくれる篠原教授だが、ドアを開けて最初に千夏の目に飛び込んできたのは、篠原教授の姿ではなく、黒髪を後ろへ流し固め、鋭い眼差しを向けるスーツ姿の男だった。


(誰…?)