春樹の話を聞いて、組長が反対してるにも関わらず、偽装結婚してまで組を解散させたいと言う、春樹の強い意志を千夏は感じていた。
「だから…組を解散させようと?」
「それもあるが、自分の為でもある」
(自分の為って…会社の為?)
「じゃ…本当に私の誤解だったんですね?」
「ああ、そうだ!」
「藪先生とも、そう言う関係じゃないんですね?」
突然飛び出したきた名前に、春樹は驚きを隠せなかった。
「なっなんで、うさぎが藪を知ってるんだ⁉︎
あの時は意識が無かった筈…だろ?」
「あの時…往診してもらった時の事ですか?」
千夏は、藪には会ったことも話したこともないと春樹に伝えたうえで、達也や真司から聞いた話を話した。
「っなんだと⁉︎」
「達也さんと真司さんを怒らないであげて下さい!
彼等も傷ついていた様ですし?」
「傷ついたって…俺の方が傷つくわ‼︎
自分の組の奴等にも疑われてたなんて…
だから、あんなに嫁を取れって…」
(そりゃー心配するでしょーよ?
自分の組の若頭を罵られたりしたら!)
「でも、これで皆さん安心されますね?
噂はデタラメだったって?」
「うさぎも安心したか?」
「安心…?」
千夏は春樹の言葉に首を傾げていた。
「なんだ、まだ疑ってるのかと?」
「疑ってはいませんが、…」
「じゃ、なんだ?」
「もともと、どちらでも良かったと言うか…
坂下さんとなら…
私、応援するつもりだったんで!」
「はいいい…⁉︎
オマエは…俺の気持ちも知らないで‼︎
坂下と恋仲になれっていうのか⁉︎」
春樹は、千夏のその言葉に怒りを覚えた。

