否定する坂下を前にしても、自分の眼で見たモノを信じていた。
「え…でも…
あの時、私、確かにみたんです!」
(見たもん!チーフが坂下の肩を抱いて…確かに顔を近づけて…)
「妄想癖がおありで?」と言う坂下に、千夏は全力で否定した。
「妄想癖なんて…
…ベッド!そうベッドの配達がありましたよね?」
「ああ、うさぎのベッドなら配達してもらった」
「え?私の為に買ったんですか?
いえ、今はそんな事は良いです。
そのベッドの下で、チーフが坂下さんの肩を抱いて…
二人が顔を近づけて…キ」
「ストップ!
うさぎそれ以上言うな!
聞いてるだけで気持ち悪くなる」
「…千夏さん、あなたは大きな誤解をされてます」
「え?(誤解?)」
坂下の言葉に驚き、千夏は側に立つ坂下を見上げた。
「あれは…
色々と事情がありまして…
私の口からは点検していたとだけ言っておきます。
ですから変な誤解はなさらないで下さい」
そう言うと坂下は袖口を少し上げ腕時計を見た。
坂下は予定があるようで“ちょっと失礼します”と、部屋を出て行った。
坂下が部屋を出たのを確認すると、千夏は部屋に入って来た時から気になっていた事を春樹に伝えた。
「チーフ、さっきからモニターの1つが点滅ランプ点いてますけど?」
「ん?」
春樹は振り返りモニターの方を見るが、“後で確認する”と言って話を続けた。

