この男、危険人物につき取扱注意!


部屋を出たものの、廊下ではいつ人が通るか分からないからと、二人は春樹の部屋である社長室へと移動した。
初めて入る社長室は沢山のモニターが置かれており、画面には各部署と、廊下やエレベーターそして非常階段まで映し出されていた。

(ここで…私達を監視してるんだ)

「何もかも見られてるんですね?」

千夏の言葉に、春樹はモニターの画面を消した

「別に監視してるんじゃない。情報漏洩があった際の為で、問題無いものに関しては、48時間経てば自動的に消去される」

(まぁ入社する際に聞かされていたし、問題になる様な事しなければ良いだけよね)

「じゃ、話をしようか?」

「はい」

「なんで勝手に1人で動いた?」

「反対にお聞きしますが、なんで1人で行動したらいけないんですか?
私の身体のことを心配してくれたなら、もう大丈夫です」

「大丈夫じゃない!」

(はぁ?)
「大丈夫です!
私の体の事は私が良くわかってます!
チーフにとやかく言われたくありません!」

「俺は勝手に動くなって言ってるんだ!」

「だから、なんで動いちゃいけないんですか⁉︎」

「俺と結婚するんだから、俺の管理下で行動しろ!」

(なに言ってんの?管理下って…はぁ?)

「俺の管理下ってなに⁉︎
私達のはあくまで偽装であって、私は自由に行動して良いはずでしょ!
じゃないと、私恋愛なんて出来ないじゃないですか!
そんなの話が違う!
こんな事ならチーフ達に協力なんて出来ない!」

「…達?」

「坂下さんの事は私も好きだし、チーフ達の関係が不毛な恋だろうと、私は応援するつもりでいたけど、管理下に置かれて自由に行動できないなら、偽装結婚は出来ません!お断りします!
いくら坂下さんが納得してると言っても、坂下さんの気持ち考えると…
胸が痛くなります」