「ねぇ、そこのお日様の光が当たってる箱、開けて見た?」

「え、どれですか?」

「ほら、達也さんの右の箱!
ひとつだけ光が当たってるのが有るじゃない?」

「えーどれですか?」

「もー右!直ぐ右よ!」

(へんね…二人からは光が見えないのかしら?
自分で行った方が早いわね)

千夏は自ら奥へと進み入ったその時、何かを纏った気がした。

(?…)

千夏はゆっくりその光の当たるその箱を手にした。

「このお日様が当たってる箱よ?」

「え、光なんて当たってました?
でも、それならさっき俺見ましたよ?」

そう達也が言うのを聞きながらも、千夏は箱を開けた。

「ね?これでしょ若頭の湯呑みと茶碗!」

「はい、それ若頭のです!」

(あれ…なんで私わかったの?
これがチーフのだって…あ、マグカップも…有った!)

「マグカップも見つけた!」

「そうです!」

「やっと見つけたね?」

「でも、どうして分かったんですか?」

「え?」

「俺、その箱一番最初に見たんですよ?」

「お日様が教えてくれたよ?」

(あれ…自分でもナニ言ってるのか分からないけど、ただ…この箱にだけ光が当たってたから…
この箱だと…
達也さん達には見えなかったみたいだけど、私には光が教えてる様に見えた。
それにさっき…
蔵が教えてくれた?…そんなバカな…)