他の部活の開催地とかで

3日間体育館が使えない。


そこで近隣の3校と合同練習を組み込んだらしい。


一番施設の充実してるN校。
お陰で最近、強くなってきているらしい。


今の3年生に実力ある人がいるとかで、今期はそこそこの成績。


ギャラリーに隣の席の石橋がない来てることに驚いたけど


同中の友達がいるとか。



その同中の渕上は俺と同じ3番。
背も同じくらい。


……正直……先輩だと思った。

それくらい、上手い。


隙がない。この浮かれてない感じ。

敵にしたら、嫌なプレイヤーだ。


「先輩かと思った！」

俺が話しかけると

「俺も」

愛想よく返事が返ってきた。



なんだ、話すと普通だな。

ポジション別の練習で1年は俺らだけだし……

直ぐに仲良くなれた。



体格はちょっと、渕上のがいいな。


プロテイン飲むか。
ウェイトだな。


とにかく、気になる存在が出来た。


女子のギャラリーにも浮かれてない。

つか、何で練習に女子のギャラリーがいるんだ？

誰かの彼女？


練習の、合間


あの子、可愛いな
なんつって皆で雑談する。

男子ってそんなもん。


確かに、レベルは高い。



石橋もやっぱ目立つよな。

あれ？

何か見たことあるような気がして


……気のせいか。N校に知り合いはいない。



練習は3日間。


やっぱゲーム形式の練習は楽しい。


自分なりの課題も見えた。



渕上のバッグから覗く月バスは……

あの本屋でちょっとしか立ち読み出来なかったやつ。次に行ったら売り切れてた。


「あ、それちょい見して」

「おー、俺のじゃねぇけど、借りてやろうか？」

「あ、いいのか？」

「あの、上にいた女子の。全然気にしないヤツだから、明日持ってきてくれたらいーわ。……明日も来るだろうし」


意味深な言い方に

ああ、渕上の彼女か。なるほど……


そう思った。


「お、お前と靴一緒！」

渕上がそう言うのに俺も靴を見た。


「本当だ、間違いそうだな」

「はは！サイズも同じくらいか？明日は俺、違うの履いてくる！」

「あ、宜しく！」


そう言って、N校を後にした。


渕上、彼女いるんだな。

ま、イケメンだ。バスケも上手いし。


借りた月バスは…なるべく傷まないように、丁寧にページをめくった。