他校生

「わっ、ごめん!」

パッと手を離し、両手を開いて手を上げた。


「え、うん」

「ずっと手握って、変態みたいだな」

「あはは!何、それー」



私が笑うと工藤くんも照れくさそうに、自分の鼻先を指で弾いた。



「探したよ、私も」

順番が変になったけれど、工藤くんのさっきの質問に答えた。


「ん、そっか。忘れられてなくて良かった」

「月バス、立ち読みしてたでしょ?その横に居たの、私だよ……」

「ええ!?マジで!?うちの制服ばっか探してたから……」

「月バス買っちゃった」

「……もしかして……あれ!?そうだよ、次行ったら売り切れてて……」





笑う私に、工藤くんも微笑んで


「……なんだよ」って、言った。





「日が長くなったね」

「だな、もう少し……いい?」

「うん、大丈夫」


“もう少し”どころか

まだ、一緒にいたかった。



「今日、渕上と付き合ってないって言ったら……言おうと思ってたんだけど」


「“付き合ってない”よ?」


「うん……だから……お友達からお願いします」


「えぇ!?もう、お友達じゃないの?これ……」

「だよな、そう思う。けど、考えて来た言葉がそれだって……待ってて、今考えるから」


私は工藤くんが“考えてる”間に

状況を整理する。



それこそ……………

顔から火が出るんだけど。


あれ?私は『好き』って言ってしまった。


工藤くんは?


「お互いの事、あんまり知らないし……まだ色々早いよね。好きって言っても、何がって思うだろ?……だから、これはどう?」


工藤くんが、こっちをしっかりと向いて



「お試しで付き合って……みるのはどう?これから知って行こうって……事で」




『お互いの事、あんまり知らないし……』
これは、確かにそうだ。



『まだ色々早いよね。好きって言っても、何がって思うだろ?』

これは……確かにそうだけど……
じゃあ、私の言った“好き”も何が?って

工藤くんは思っているのかな。


ああ、確かにそうだね。


工藤くんはどう思っているのかな、私の事。

同じ気持ちでいいんだよね?

ただ、ちゃんと話した事もなかったし……


だから、ゆっくり行こうって考えてくれて……るんだよね?



それでいいかな。

そう思って


「うん」

そう答えた。


なのに、提案した工藤くんが納得いかない顔。