重い。

野菜ジュースだけで朝食を済ませると

学校へと向かった。



朝から……いや、昨日から……みぞおち辺りが緊張で重たかった。


授業中もシャーペンを折ってしまいそうだった。



6限の英語コミュニケーションの授業は

ほぼ、コミュニケーションを取れず。

ただ、息を吸って、吐いてた。


簡単に言うと、緊張し過ぎて吐きそう。



この授業が終われば本屋さんへ……行く。



チャイムの音に、それに負けないくらい心臓が大きく鳴った。




「おう!工藤にヨロシクな!」

陽気にそう言うふっちーを睨む。


「あ、悪い。そっとしとくべきだったか?」

ぶんぶんと縦に首を振って


声を発する事なく教室を出た。




朝から用意していたドリンクは早々に無くなって、コンビニに寄って新たに調達した。


トイレに行きたくなったら困るから、水分は渇く口を潤す程度に含む。


それを数回繰り返すと、トイレに向かった。


顔を撫でて、抜けた睫毛などひっついてないか何度も確かめた。


色つきリップを塗って、髪をちょいちょいっと整えて、大して変わらないというのに前髪の分け目にこだわった。


本屋さんの前で待ってるべきか、中で待っておくべきか悩んで

中で待つことに決めた。



中で待つって決めたのに……

本屋さんの前で自転車を停めて、彼はそこにいた。



彼が待っているのは、私なのだから……
直ぐにそこに行くべきだって分かっているのに足が動かない。


目も彼の方に向けたっきり動かせずにいた。



快適よりも少し暑いくらいの風が通り抜ける。

手遊びしてる彼に…

今度は何て声を掛けていいのか、思考の鈍った頭ではすぐに思い付かなかった。



顔を上げた彼が、私に気付くと

ふっ、と顔を緩ませ

身体をあずけていた柵から離れた。



「ご、ごめんなさい」

「何が?」

「お待たせして」

「ああ、俺も今来たと……ぶっ」

「え?」

「ベタなやりとり!行こ、ちょっと話せるとこ」


工藤くんが自転車を押して歩き出した。



大きな公園のベンチの横に自転車を停めると


そこに二人で腰を下ろした。



「えっと……今日さ、待ち合わせた本屋で……会ったこと……ある、よね?」


静かなベンチで指を組んで、膝に肘を置いて…

顔だけこちらに向け

彼は私に、そう尋ねた。