「今週は3年生の推薦入試説明会とか、三者面談とか……顧問が忙しいので、自主連」



さっちゃんがそう言って……

寄り道して帰ることになった。



「紗香も呼んでるから」

さっちゃんの目的は分かってる。


私だって、紗香とこの状態は嫌だ。



「ちゃんと、公平に聞くからね」

「うん、工藤くんの事もあるし、ちゃんと話す」




いつものファーストフード店。

先に到着していた紗香が強ばった笑顔で手を上げた。

私も、上手く笑えたか分からないけど、紗香に笑顔を返した。



むっちゃんの強さを思い出して、私も、ちゃんと話そうと思った。



シロップを入れてない、レモンだけのアイスティーで喉を潤わすと



「紗香、工藤くんの事、黙っててごめん」

先ずは、謝った。



「うん、いいよ。……何か……むっちゃんもさっちゃんも知ってるのに、私に教えてくれなかったことが…嫌だったんだと思う。寂しいというか」


「うん」


「それに、工藤とはクラスメイトだし、朱里とふっちーとは逆でしょ?私も何か協力出来たらかもしれないし、朱里ももっと早く工藤と接触出来たかもしれないのに、何で?って……思った」


紗香の言葉に私は俯いたしまった。


それは……工藤くんが紗香を好きだから……
それに……紗香も気まずいだろう。


代わりにさっちゃんが言ってくれた。



「工藤くんて……紗香を好き……なんでしょ?紗香が振ったなら……。あ、もう諦めたかもしれないけど、まだ好きな可能性の方が高いし、それで朱里も言えなかったんだよ」


紗香はその事に気づかなかったのだろうか。

驚いた顔をさっちゃんに向け、そのまま私に向けた。



「はぁ!?」


紗香の声に俯いたまま


「ごめん」
とだけ言った。



「いやいやいや!!何で工藤が私の事を好きって事になんの?ちょっと喋っただけだし!」


「……え?紗香、告白されたんじゃないの?」


「はぁ!?全くされてない」


「……………」


「「え?」」


私達は全員が理解しきれない顔で各々の顔を見た。




「Aくんて、工藤くんのことじゃないの?」

恐る恐る、私はそう聞いた。



紗香の中で漸くその話に繋がったのか……


「ああ!」

そう言って、立ち上がった。



紗香は今の今までAくんの話を私達にしたことを忘れていたのだろうか。

その事に
私とさっちゃんがポカンと紗香を見上げた。