「ね、あの“彼”は何て?」

「あ、何かね……話があるって……」

「何の?」

「それが、よく分からないだよね」

「何にしても、良かったね。話せて」

「……うん」

「まぁ、紗香に話すタイミングはミスったね」

「あー、本当。それだよね。でも、むっちゃんがすっごいフォローしてくれた」

「さすが、むっちゃん!経験者!てか、紗香とむっちゃんすっかり仲良しだよ」


「うん、それも……さ。むっちゃん良い子だからさ」

「こればっかりはね、仕方がないよ。それに、むっちゃんも分かってると思う。そういうのも含めて、むっちゃんは良い子だよ」


「そうだね……」


「朱里も告白するの?」


「でぇえ!?」
持ってたハンバーガーからブシュッとソースが飛んだ。


「動揺しすぎだけど、大丈夫?しないの?」


「ほぼ、初対面!!しかも、紗香の事好きなんだよ!?」

「あ、その相談…とか?わざわざ朱里にしないか……」


みるみる、みぞおちの辺りが気持ち悪くなって、私はハンバーガーをトレーに置いた。


そうかも。

何で私……会えること楽しみにしてたんだろう。



「ご、ごめん、ごめん!」

私の顔がよっぽどだったのか、さっちゃんが慌てた。


「あれじゃない!ほら!あれ!えっと……ハンカチ!ハンカチの事じゃない?」


「……え、覚えてたってこと……」


「……違う、かな?」


分からないけど……そうだったら

それ返して貰って……終わり…じゃない?


聞きたい事は何だろう。



俯いた私にさっちゃんが笑った。

「朱里、よっぽど好きなんだね」

「え、いや、だって……」

「うん、私みたいに振られてもめげないのもアリだよ」


そうだった、さっちゃんは積極的に頑張った人だった。



「……そろそろ行くね」

伸ばしかけの髪をそっと撫でて、さっちゃんが立ち上がった。


少し前まではボーイッシュで……

さっちゃんはいつの間にか……

綺麗になったなぁ。



嬉しそうに彼氏の待ち合わせへと向かうさっちゃんをガラス越しに見ていた。



羨ましくも、眩しさに目を細めた。



“告白”かぁ。


工藤くんのアイコンを見つめ

少しばかり……

私も、前に進んでみたくなった。



工藤くんも、前に進みたいって気持ちになっめいたら…私の事を見てくれる事も


あるのかな……