ブーとデジタイマーのブザーが鳴って、男バスのゲームが終わった。


「お昼にしょっか。さっちゃんたちも一緒に食べれるの?」

「うん、今日は長いからね。しっかり食べとく」

セイはいつもしっかり食べてるけど、そう言った。



「何か飲み物買ってくる」

そう言って、一人で下に降りた。



「よう」

靴を履き替えてるふっちーに声を掛けられ、一緒に外に出た。


「見たか?上手かっただろ?」

「ああ、はいはい、格好良かったよ」

「バッカ、俺じゃねーわ、アイツ!」

アイツと言われただけで、かぁっと顔が熱くなって両手で押さえた。


「何か色々……調子に乗ってたなって、俺」

顔を一度上に向け、こっちに顔を向け直すと


「やっぱ、K高行けば良かったかな……」
ポツリ、そう溢した。


このあたりだと、K高はバスケが強い。
少し前は、うちの方が強かったらしいけど。


「……それって……」

「そんな、本気でしようと思って無かったんだよ、バスケ。N高(ここ)なら簡単にスタメン入れるかなって。実際入れて、調子に乗ってた。アイツ見て……何か色々……」


「うん、分かるよ。私も……K高だったらなって…あ、一緒にしたらダメか。私のような……理由は、アレだね」


「……いや……ソッチ系の気持ちも……分かる」


何となくそうかなと思っていたけど、思わず勢いつけて、ふっちーの方を見上げた。


「ねぇ!それ!」

「あー、何か完璧にタイミング逃して、もういっか、って思ってたんだけど……顔見るとな。ああ、ぶっちゃけ見なくても…何言ってんだろ、俺。……今更感満載。高校入って、モテたけど…何か違うんだよな」


「そりゃ好きってそうだよ、全然違うよ!」


「“告白”されて、色々考えた。中学(あのころ)とは全然違うなって…“付き合う”っていうのが……」


「今更じゃないよ、ふっちー!」


「んじゃ、聞くけど……お前、今俺に“好きだ”って言われたら、どうすんだ?」


「……え、アリじゃない?アリアリ!」


「はっ、虫か」


「はは!蟻ではない」


ふっちーのしょーもないジョークに笑う。


ふっちーでも悩む事に……

ふっちーが言うように中学(あのころ)とは変わったのだと、私も……思った。





「オイ!渕上!!」

誰かの呼ぶ声に、足を止めて振り返る。


そこには、“彼”と紗香……

むっちゃんに、さっちゃんとセイ。


……全員集合だ。