それぞれに、色々と思うことがあったのだろう。
その日はそれ以来……誰も、大して話さなくなった。
体育館を出ると、薄暗い校庭をむっちゃんと紗香が並んで歩いている。
「朱里!」
そう呼ばれて振り返る。
ふっちーだ。
「明日も来んの?」
「そのつもり」
「じゃ、月バス明日まで借りてていい?」
「あー、うん。いいよ」
「アイツに貸してもいい?」
「はぁ?又貸しとか……」
ふっちーが“アイツ”と指した方向には
“彼”がいた。
かがんでスニーカーに履き替えている。
彼が顔を上げる前に、慌てて背を向けて
「分かった!じゃね!」
そう言って、むっちゃんと紗香に追い付く為に走った。
心臓が、ヤバーい!!
あの月バス、彼のとこへ?
買って良かった!!
思わず顔が緩む。
振り返って、私を待っていた二人に
「顔赤いけど大丈夫?」
そう言われ……
むっちゃんだけなら、状況の説明も出来ただろうけれど、紗香もいるこの場所では
「そ、そう?」
誤魔化すしか、無かった。
「ふっちー、何だったの?」
「貸してた月バスを返すの明日で良いかって…」
「いいなぁ、私も…明日返ってきた月バス貸して?」
「ダメッ!」
思わず大きな声が出てしまって、二人が驚いて立ち止まる。
「え……何で?」
紗香の怪訝な顔に…
「わ、私も……まだ読んで無くて…」
そう言うのがやっとだった。
「うぃース」
紗香にそう言って横を過ぎて言ったのは…
彼。
「あ、お疲れー!」
紗香が明るくそう返した。
それから……
「あ、朱里!明日な!」
前の彼をチラッと見て、ふっちーが意味深な視線をよこした。
“アイツに貸したからな”そんな視線。
「ちょっ!はい!分かった!」
ふっちーの視線に堪えれずに、ふっちーの顔も見ずにそう言った。
男バスの団体が通りすぎ、再び静かになってから
「あ、紗香…月バスだけど……」
「いいよ、もう。行こう」
ああ、しまったな。
そう思ったけど……
言い訳も思い付かず、話題を変えようと思いめぐらせていたら
「ふっちーって、いつの間に“朱里”って呼ぶようになったの?」
紗香がそう言った。
「あ、本当だ。そうだね、いつからだろう……」
気づかなかった。
ごく、最近だろう…
「……いいなぁ、同高」
紗香がポツリとそう言った。
その日はそれ以来……誰も、大して話さなくなった。
体育館を出ると、薄暗い校庭をむっちゃんと紗香が並んで歩いている。
「朱里!」
そう呼ばれて振り返る。
ふっちーだ。
「明日も来んの?」
「そのつもり」
「じゃ、月バス明日まで借りてていい?」
「あー、うん。いいよ」
「アイツに貸してもいい?」
「はぁ?又貸しとか……」
ふっちーが“アイツ”と指した方向には
“彼”がいた。
かがんでスニーカーに履き替えている。
彼が顔を上げる前に、慌てて背を向けて
「分かった!じゃね!」
そう言って、むっちゃんと紗香に追い付く為に走った。
心臓が、ヤバーい!!
あの月バス、彼のとこへ?
買って良かった!!
思わず顔が緩む。
振り返って、私を待っていた二人に
「顔赤いけど大丈夫?」
そう言われ……
むっちゃんだけなら、状況の説明も出来ただろうけれど、紗香もいるこの場所では
「そ、そう?」
誤魔化すしか、無かった。
「ふっちー、何だったの?」
「貸してた月バスを返すの明日で良いかって…」
「いいなぁ、私も…明日返ってきた月バス貸して?」
「ダメッ!」
思わず大きな声が出てしまって、二人が驚いて立ち止まる。
「え……何で?」
紗香の怪訝な顔に…
「わ、私も……まだ読んで無くて…」
そう言うのがやっとだった。
「うぃース」
紗香にそう言って横を過ぎて言ったのは…
彼。
「あ、お疲れー!」
紗香が明るくそう返した。
それから……
「あ、朱里!明日な!」
前の彼をチラッと見て、ふっちーが意味深な視線をよこした。
“アイツに貸したからな”そんな視線。
「ちょっ!はい!分かった!」
ふっちーの視線に堪えれずに、ふっちーの顔も見ずにそう言った。
男バスの団体が通りすぎ、再び静かになってから
「あ、紗香…月バスだけど……」
「いいよ、もう。行こう」
ああ、しまったな。
そう思ったけど……
言い訳も思い付かず、話題を変えようと思いめぐらせていたら
「ふっちーって、いつの間に“朱里”って呼ぶようになったの?」
紗香がそう言った。
「あ、本当だ。そうだね、いつからだろう……」
気づかなかった。
ごく、最近だろう…
「……いいなぁ、同高」
紗香がポツリとそう言った。



