とりあえず、今日は
むっちゃんと紗香を引き合わせる事に徹して
後は、練習が終わるまでやり過ごそう。
そうしよう。
そう決心して、今日も紗香の到着を待った。
昨日とは違い、今日は……
色付きリップだけってわけじゃなさそうだ。
「今日は、気合い入れてきたのね」
「むっちゃんに会うからね」
……ふっちーじゃなくて、むっちゃんか。
それも…なんだか分かるなぁ。
脅威だよね、自分の知らない、女の子ってさ。
気合いも入るか。
いつもより、可愛い。
2階のギャラリーで、むっちゃんが来るのを待った。
K高のバスケ部も到着したのか続々と集まって、各々にストレッチを始めてる。
ボールケースから取ったボールを器用に手先で遊んでる。
「ね、朱里の好きな人、いそう?」
「え、あ、どうかな……」
手摺まで行かずに奥にいると、下からはそんなに見えないかもしれない。
下から見上げなければ。
好きな人って、どうしてこんなに目に付くのだろう。
奥のコートで練習を始めたK高のバスケ部。
…バスケ部の中に入れば、目立つほど背が高いわけじゃない。
それでも、このギャラリーからでも
あの人だなぁって、私にはわかった。
見間違いだったらと、この期に及んでもそう思っていた。
だけど、間違いなく“あの人”だ。
あの時は見えなかった、肩と腕のラインが
凄く綺麗な物を見てるみたいで
ずっと目で追っていた。
自分の順番が来るまで、チームメイトと少し言葉を交わしたり……
アドバイスされてるのか?
頷いている。
上着の胸元を摘まんで、そこで汗を拭く。
時折、人懐こく笑う。
ぐっと苦しくなるような、嬉しいような心臓の響きに、息をするのも忘れる。
N高もウォームアップを始め
「始まった!」
紗香の声でやっと、彼から目を離すことが出来た。
バスケットボードにぶつけたボールを順に高い位置でキャッチ…というか、触れるだけでまたボードにぶつけ、後ろの人へと繰り返していく。
「これだけで、凄いんですけど」
それが終わると順にシュート練習。
「アップ終了!」
キャプテンらしき人のかけ声で
チーム毎に集合した。
「朱里!」
その声に振り向くと、むっちゃんが笑ってた。
むっちゃんも、お昼に会った時より…可愛い。
そうだ、今日はこのために来たのだ。
緊張してるのは、むっちゃんも、紗香も同じだ。
むっちゃんと紗香を引き合わせる事に徹して
後は、練習が終わるまでやり過ごそう。
そうしよう。
そう決心して、今日も紗香の到着を待った。
昨日とは違い、今日は……
色付きリップだけってわけじゃなさそうだ。
「今日は、気合い入れてきたのね」
「むっちゃんに会うからね」
……ふっちーじゃなくて、むっちゃんか。
それも…なんだか分かるなぁ。
脅威だよね、自分の知らない、女の子ってさ。
気合いも入るか。
いつもより、可愛い。
2階のギャラリーで、むっちゃんが来るのを待った。
K高のバスケ部も到着したのか続々と集まって、各々にストレッチを始めてる。
ボールケースから取ったボールを器用に手先で遊んでる。
「ね、朱里の好きな人、いそう?」
「え、あ、どうかな……」
手摺まで行かずに奥にいると、下からはそんなに見えないかもしれない。
下から見上げなければ。
好きな人って、どうしてこんなに目に付くのだろう。
奥のコートで練習を始めたK高のバスケ部。
…バスケ部の中に入れば、目立つほど背が高いわけじゃない。
それでも、このギャラリーからでも
あの人だなぁって、私にはわかった。
見間違いだったらと、この期に及んでもそう思っていた。
だけど、間違いなく“あの人”だ。
あの時は見えなかった、肩と腕のラインが
凄く綺麗な物を見てるみたいで
ずっと目で追っていた。
自分の順番が来るまで、チームメイトと少し言葉を交わしたり……
アドバイスされてるのか?
頷いている。
上着の胸元を摘まんで、そこで汗を拭く。
時折、人懐こく笑う。
ぐっと苦しくなるような、嬉しいような心臓の響きに、息をするのも忘れる。
N高もウォームアップを始め
「始まった!」
紗香の声でやっと、彼から目を離すことが出来た。
バスケットボードにぶつけたボールを順に高い位置でキャッチ…というか、触れるだけでまたボードにぶつけ、後ろの人へと繰り返していく。
「これだけで、凄いんですけど」
それが終わると順にシュート練習。
「アップ終了!」
キャプテンらしき人のかけ声で
チーム毎に集合した。
「朱里!」
その声に振り向くと、むっちゃんが笑ってた。
むっちゃんも、お昼に会った時より…可愛い。
そうだ、今日はこのために来たのだ。
緊張してるのは、むっちゃんも、紗香も同じだ。



