そうなってみないと、分からない。


「逆に言うと、そうなってない間は楽しみたい。片思いの醍醐味だよね」

むっちゃんは、クラスにいられなくてここへ来てるっていうのに、明るくそう言った。


「そうだよ、楽しいよね。目があっただけで…嬉しい」

さっちゃんが同意して


「私なんて、やっと存在知って貰えたし、それも…クラスからハミったお陰。複雑だよね」


「むっちゃん、エライよ。そうやって笑いに変えられてさ」


「さっちゃん……笑いにしてませんけど?」

むっちゃんが、苦笑いで返す。


「あ、ごめん、ネタかなと…」

1組(こっち)ではね、てか、きっと…こっち来てるのも気に入らないんだよ、ちぃこ。」


「それはそうかもね。自分は振られてるから来づらいよね。あ、ちぃこちゃん、ふっちーの事、諦めてないんだっけ?」


「諦めてないっていうか、諦められないんだろうね。諦めてたら、私が好きだろうが、ここまで気にしないだろうし」


「でも、プライウッド高そうだから、自分が振られた相手と自分の友達が付き合ったりしたら、それはそれで許せない感じはする」


「少なからず、誰もがそんな感情はあるよ。ただ、ちぃこはそれを表に出すタイプなんだよ」


むっちゃんは、冷静にちぃこちゃんを分析してる。


「むっちゃんが間違えたのは、ちぃこちゃんに打ち明けるタイミングくらいだよね」


「いや、ちぃこと友達に、なった事じゃねぇ?」

後ろから声が聞こえて振り向くと、パンを抱えたセイだった。


「ちぃこと合うやつは、ちぃことつるんでりゃいいよね」


「……そうだね。セイが同じクラスで良かったよ」


「ちぃことクラス離れたら、あのグループも解散するからなー、いつもそう。また新たに、回りを巻き込んでグループ作るだけ。この1年だけのグループって感じ」


「……その1年が……大事だもんね」


「逆にちぃこはハミったら、引きこもって、親、先生巻き込むタイプ」


「……わぁ」


「めんどくさいんだよ、あいつ……」


「個人的にしゃべったら…いい子なのにね」


「個人的に喋って、いい子じゃない奴なんて、逆にヤバい」


「……確かに」


「楽しもうぜ!青春!!」


セイが4つ目のパンの最後の一口を飲み込むと



まるでくじ引きでもするかのように、プリッツをバラッと立てた。



それを、私達が1本づつ引き抜いて、美味しく頂いた。



通りすがりのふっちーも引き抜いて…

「俺、プリッツは結局サラダが一番好き」



それに
むっちゃんが、ちょっと…赤くなった。