「わざわざそんな事しなくてもさっさと呼び出して、さっさと告れよ」

さっちゃんと私は全くの同意見だった。

この日は、私とさっちゃんが呼び出されていた。

結局、放課後の部活動を覗くという事に落ち着いた。

それが一番…全員に取って差し障りがない。

「ふっちーに見つかったらどうしよう」

紗香の言葉に

「いやいや、見に行くんだろ?うちの制服まで着て。喋るくらいのことして来い!」

「さっちゃんの言うとおり!」

だいたい、何でわざわざ他校の紗香がうちの高校の制服来て忍びこんでるのか

ふっちーも絶対に疑問に思う。

そこをふっちーがつっこんでくれたら……

ダメか。どうせあまのじゃくを発揮する。

どのみち、紗香は“そこどうするんだろ?”って部分まで全く頭がまわっていない。

恋って……

滑稽だな。

ふっちーを見たいだけなら、他にも方法は…

いいか、もう。

私は諦めて

さっちゃんも諦めて

二人で顔を見合わせて肩をすくめた。

「紗香くらい可愛かったら、思い通りになるわけでもないんだな」

さっちゃんがそう言った。

「なんせ、自爆が酷い。それで今この状況」

「あー…なるほど。うーん…ふっちーモテモテだしなぁ」

さっちゃんの言葉に、紗香は半泣きで

「そらそうでしょ!格好いいんだもん!優しいし!首に格好いいホクロあるし!」

「…ホクロって格好いいとかあんの?」

さっちゃんが呆れるようにそう言った。

佐々木沙知代は中学時代、バスケットボール部のキャプテンだった、背の高いサバサバ女子だ。

こうやって下らない事に、下らないと思いながらも付き合ってくれる面倒見の良い姉御肌だ。

名字の半分が“さ”なのでさっちゃんと呼ばれている。

と、思っていたら

「単純に沙知代だから、“さっちゃん”でしょ」

と、紗香が言った。

「どっちでもいーわ」

と、さっちゃんが言った。

何はともあれ、決行することになった。

ふっちーを見に行くツアーとやらが。