「他校だったとしてもさぁ、同い年って羨ましいよ」
さっちゃんは私たちを励ますようにそう言った。

「確かに。1年キャンパスライフを楽しんだら、もう社会人なのかぁ」


「そう、追いかけても、追いかけても…3つの差は縮まらない。遠い」


「うちのパパ、ママより3つ上」

「うちなんて、5個くらい違うんじゃないかな?」

「大学1回の時でみたら…中2!?」

「ヤバい、犯罪!」

「どっちも未成年でしょ!?」

「でも、大学生が中学生に手出してたら低くなぁ」


「大人になったらさ、3歳なんてあってないような年の差なのかもね」

ついこの前まで
勝手に可愛い後輩に怯え、セクシーな先輩に怯え
散々心配してた春香がそう言った。



「今の私たちには、たった1歳が大きい」

「同じ学校かどうかも、すごく大きい」


そんな、狭い世界が、私たちの全てだった。




「ときに紗香ちゃん」

「何でしょうか、師匠!」

「教科書が同じとはいえ、微妙にテスト範囲違うし……同高に友達はいるのかね?」


……確かに紗香はずっと私達と過ごしている。
ふっちーがN高だから、だろうけど。

「紗香なら、誰とでも仲良くなれるでしょ」
私がそう言うと

「……ここが、今の癒し……」
紗香が少し顔を曇らせた。

「……何かあったの?」

「グループのね…あ、同じクラスの女子5人グループなんだけど……」

そう言うと、ノートの真っ白なページを開いて説明し始めた。



「クラスにモテAくんがいました。私、そのAくんの隣の席なわけ。で、グループの女子をB子、C子、E子、F子としよう。B子が、Aを気に入ってるわけ。でさ、私とAくんが仲良いってので……ちょっと微妙な空気。そこにC子が、Aが私の事良く見てる…とか言い出してさ」


「あー、Aくん紗香の事好きなの?」


「……分からないけど、隣の席だし、まぁ、喋るよね。Aから何か言われたわけでもないし、Bも子からも、別に何も。いや、Aと喋るなって言われても困るんだけど……何か変な空気」


「紗香、可愛いからなぁ」


「あー、B子にも言われた。『紗香可愛いから、仕方ないよ』って。これ、どうすりゃいいの?告られた訳でもないし」


「紗香、学校の友達にふっちーの事話してないの?」


「他高に好きな人がいるとは言ってる。だけど、朱里とさっちゃんみたいに、話してはない、かな」


「……うーん、それって…さぁ」

さっちゃんが一息ついて言った。