「少女漫画って、絶対両思いになるんでしょ?」

「まぁ、そうだけど、それまでの色々が楽しいのよ…だいたい友達とこうやって恋バナして、それでその友達と………………好きな人が………………被る」

紗香が物凄い目で何かに気づいたように私を見たもんで吹き出した。

「だからぁ、1回会っただけの人だってば!」

「ね、それって私に遠慮してそういう事にしたんじゃないよね!?」

半泣きの紗香に……正直に白状するとした。

あの日の出来事を……



「うちの高校の人なの!?」

「……制服が一緒だったから、向こうも普通に話してくれたんだと思う」

「ネクタイ、何色!?」

「ネクタイ?え、よく覚えてない。これと同じじゃないのかなぁ?」

私は紗香のボウタイを指差して言った。


「これと一緒なら1年だよ!」

「……学年ごとに色が違うの?」

緊張し過ぎて、大して彼の方を見ることは出来なかった。


だけど……
同じだった、気がする。


「ええ!?誰だろう!?名前は?」

「知らない…。でも……凄く……カッコ良かった」



私がそう言うと
二人が黙った。


不思議に思うと、目の前には凄く驚いた二人の顔。

その顔が次第に緩んで来て…


「ちょっと、ニヤケないで!もう!言うんじゃなかった!恥ずかしい」

顔が見られないように、テーブルに突っ伏して隠れた。


「まさか、朱里と恋バナ出来る日が来ようとは」

紗香がそう言って

「朱里がそんなこと言うの、初めて聞いた!」
さっちゃんまでがからかう。


「もう、そっとしといて!」


そう言った私に……


「そろそろ…カレカノ出来だす時期…」
紗香がそう言った。


「いるよ!あの人なら、絶対彼女いるに決まってる!」

「分からないでしょ!?出来るまでがチャンスじゃない!」

なぜか、嬉しそうにテンションが上がる紗香に


「ふっちーもね…」
さっちゃんがそう言って、紗香はみるみるテンションを下げた。



「協力しあいましょう!!」

紗香が私の手を握ってそう言った。



「あ、忍び込む?」
自分の、制服のボウタイをチョイっと摘まんでそう言った紗香に


全力で首を振った。


「それ、一番効率悪い気がする」
さっちゃんが顔をしかめてそう言った。


「ちょっと、情報が少ない、その彼の特徴は?」


「カッコ良くて…」


「うん、それさっき聞いた」


「あはは!朱里も紗香も…あはは!」

さっちゃんがドリンクを吹き出す勢いで笑った