校門で
振り返ってまで見られる。


通りすぎた男子の団体。
ネクタイの色から上級生だろう。


戻って来た。


「ねぇ、誰か待ってんの?」

ニヤニヤと話しかけられ


頷くので精一杯。


「俺ら、呼んできてやろーか?」


「あ、だ、大丈夫……デス」


それ以上絡まれなくてホッとした。


女子生徒はヒソヒソと通りすぎる。


やっぱり目立つな……セーラー服(これ)


快晴くんもこんな気持ちで待っててくれたのかな。
そう思うと申し訳ないような気持ちになってくる。



「あ、工藤の彼女じゃーん!」

何となく見覚えがある男子生徒はバスケ部だろう。


ペコリと頭を下げた。


「え?工藤くんの彼女なの?」

遠慮なく見てくる女生徒に俯く。


好意的な視線じゃない気がして


「……わざわざ来る?」

聞こえるようにそう言われた。




……来るんじゃなかったかな。


そう思った頃に


「朱里!悪い!今日日直だった」

快晴くんの顔にホッとした



「あー、どした?」

「ジロジロ見られて、恥ずかしかった」

「……俺は……見て欲しいくらいだけどね」



快晴くんが、嬉しそうに笑うから


つられて私も笑う。



「……うーん……やっぱ見せたくないような……」

「何それ」


お互いの手の甲が触れると
どちらからともなく、軽く開いた指を絡める。



「今日自転車は?」

「置いてきた、邪魔だし」

「邪魔?」

「そ」



さっきの男子生徒と女子生徒を追い抜いて


「お疲れー」

快晴くんが、繋いだ手を上げて挨拶する。
耳元で快晴くんが

「朱里、笑って」

そう言われて、笑顔を作った。



「見せつけてるだろ、お前」

「勿論!」


快晴くんが楽しそうに笑う。



「何それ」
私も笑った。


「これがやりたかった」

いたずらっ子のような顔でそう言った。



恥ずかしいけど

お陰でちょっと……


好意的じゃなかった女子生徒の目も
好意的になった気がした。




「さて、どこ行く?」

「部活ないの、久しぶり!」

「……テスト休みでしょ?」

「言うなよ。今日だけ!」



私達はとても忙しい。


だから、あんまり会えないけれど……

その分、会えたときが……とても嬉しい。


季節は2回変わって

出会った時と同じ冬服だけど


彼はブレザー。
私はセーラー服。


他高だって分かる。


でも、カレカノだって分かる、そんな距離感。