ミーティングが終わる頃には暗くなりかけていて

朱里ちゃんはもう家に着いてるだろう。

スマホを確認したけどメッセージは入ってなかった。


……来ない
場合、どうするか……


待つしかないけど…。


返って、飯食って、風呂入って……


メッセージは無かった。


寝るくらいになって通知音にスマホを確認する。


可愛いスタンプ。

続いて

『今晩は、朱里です。今日、体育館でID教えて貰ったのでメッセージしました』


知ってる、知ってる、教えた、教えた。

ホッとしすぎて、脱力。


アイコンが、朱里ちゃんじゃないのが残念。

猫だ。



『連絡、来ないかと思った』

『聞きたい事があって』

メッセが恨みっぽくなって、すぐにもう1つ付け足した。


さも、用事があるからID教えたみたいな。
今度は言い訳っぽくなった。




『何?』

直ぐに返信があった。


『会って、話したい』

『部活の練習の予定があるから、また連絡していい?』



たったこれだけのメッセで緊張する。


OKのスタンプにホッとして
スマホを置いた。



考えたくないけど

朱里ちゃんに彼氏が居ても全然不思議じゃない。


それが、渕上だとしても。


同中だし、クラスメイトで

今日の渕上との会話。


3日連続で、学校が休みの土曜日にまで見に来る……

『ふっちーがいるから』って朱里ちゃんも言った。



でも、どうしても、俺も……

話がしたかった。


彼氏のいる子を呼び出して、二人で会うってどうなんだろ。




再びスマホを持つと

『お疲れ』渕上にメッセを送った。

『俺なりに気づいた事があって、ごめん、喋ってるの聞こえた』

『やっぱり俺も諦められない…というか、気になるから、それを渕上にも言っておくね』

『せっかく友達になったのに気まずくなるのも嫌だから』

『マンツーマン楽しかった!おんなじ1年だと思わなかったし、またやりたい!』



出きるだけ、嫌な感じにならないように
言葉を選んだ。


『俺も楽しかった!またやろーぜ』

と、よく分からないキモキャラのスタンプ。



でも、触れないって事は……

分かってるんだと思う。


つか、朱里ちゃんから聞く……だろうと思った。


もし、朱里ちゃんと付き合ってるなら、朱里ちゃんから聞くだろうと。


まだ付き合ってないなら……

二人で会うのも許されるだろうと思った。


どのみち……



俺と朱里ちゃんは、お互いに、名前すら知ったばかりだ。