呪われた旅館


みんなで見に行った時に開かなかったはずの戸が、今になって開くわけもなかった。

すみれ「お願い、開いて......!」

どんなに力を込めても、玄関の戸は一向に動く気配がない。
背後でガラガラと戸の開く音が聞こえてくる。
これ以上ここにいるのは危険だ。
音のする方を視界に入れないようにしながら、必死で階段を上った。

何度も転びそうになりながらやっとのことで4階に着くと、もう揉み合う音も翔太の声も照くんの声も聞こえなくなっていた。

兄組の部屋に入って戸を閉める。
そのまま奥まで進んで、どうか幽霊に見つかりませんように、と部屋の隅で膝を抱えた。

最初は10人いたこの部屋も、今は1人になってしまった。
みんなどこに行っちゃったんだろう。
これから私はどうすればいいんだろう。

海斗が寝ていた布団もテーブルの上の湯呑も今は見たくなくて、腕の中に顔をうずめた。