呪われた旅館


鏡の中の翔太は苦しそうにもがいている。
目の前で連れていかれるわけにはいかない。

すみれ「わかった。すぐ戻ってくる」

宏太、亮平、愁、海斗、大ちゃん。
みんなのためにも、と歯を食いしばりながら階段を駆け下りた。

1階に着いても、すぐに慧の姿を見つけることはできなかった。
翔太を早く助けたい気持ちと、もしも慧がいなかったらどうしようという気持ちが同時に押し寄せてきて、震える足で廊下を進む。
しばらく進むと飾り鏡が見えてきて、恐る恐る自分の姿を確認する。

......よかった、ちゃんと映ってる。

そのことに少しだけ安心して、再び歩き出そうとしたところで、肩にポンと手を置かれた。

慧!?

反射的に振り返ろうとして目に入った鏡を見て、私の身体は固まった。
鏡に映った私の肩には、手なんて乗っていなかった。