呪われた旅館


愁「すみれ、聞こえてる?」
すみれ「うん、聞こえてるよ」
愁「……誰?」
すみれ「え?」
愁「誰かいんの?え......」
すみれ「愁?」

愁の声は、私ではない誰かに向けられているようだった。

愁「待って、来ないで......来んな!......」
すみれ「愁!?」

愁との通話は突然、プツリと切れた。
愁が何か大変な目に遭っていることは確かだ。
今助けに行けるのは、私しかいない。

迷っている暇はなかった。
海斗と大ちゃんに「ちょっと待ってて」とだけ伝えて、階段へ続く廊下を走る。
途切れ途切れの電話の中で、愁は“3階”と言っていた。
後に続いた言葉が何だったのかはわからないけど、愁が3階にいる可能性は高い。