何の躊躇もなしに1つの部屋に入っていくみんな。
まぁ、いつものことと言えばいつものことだ。
この旅館の客室は大人数にも対応する広さでありがたい。

宏太「お茶飲む人?」

宏太の問いかけにメンバー全員が手を挙げる。

すみれ「手伝うよ」
宏太「ありがとう。湯呑足りるかな、これ」
すみれ「10個あるよ」
宏太「お、ちょうどだ。ちなみに、湯呑って1口(こう)2口、とも数えるって知ってた?」
すみれ「そうなの?」
宏太「そう。特にお客さんに出す時は1客2客、って数えるんだって」
照「おい岩本、余談はいいから早くお茶入れろ」
宏太「はいはい」

宏太が淹れてくれたお茶を、取りに来てくれたみんなに順番に手渡す。
違和感に気がついたのは、最後の1個を宏太に渡した時だった。