「でも、陽太さんと楽しそうに話してる風夏ちゃんを見かけて入るのをやめた」

「そうだったんですね。暑い中外でお待たせしてすみません」



なるほど、だから公園のベンチに座ってたんだ。

この辺、大学も春臣くんの家も遠いのに変だと思った。



「でも、だからこそ風夏ちゃんと出会えた」



私にしか見せない無邪気な笑顔。

夕日色に染まった笑顔が、泣きたいくらい綺麗だと思った。


「今日隼に言われた。彼女が最悪のタイミングで来てたって」

「え、春臣くんに言ったんですか村田さん……」

「ごめん、もっと強く言えばよかった」



その笑顔が悲しげになって口角が下がっていく。

さっきより暗くなった空間に、少し寂しげな表情が際立って見えた。