「ほらな、だから言わんこっちゃない」



さすがにショックを受けて後ずさり。

すると誰かに当たってしまって、頭上から聞き覚えのある声が。



「村田さん!村田さんも来てたんですね」

「は?金が出ねえならこんな面倒なことしねえよ」

「あー、バイトなんですね。おつかれさまです」

「……お前大丈夫?あんなの見せられて」



口は悪いけどなんだかんだ心配してくれる。

やっぱりこの人優しいな。



「ちょっとモヤッとしますけど、私の彼氏イケメンだから仕方ないですね」

「お前のドヤ顔腹立つな」



腰に手を当てて強がると笑われた。

少し不安だったから、笑ってくれたら楽になる。

村田さんは「ハルが可哀想だから止めに入ってくる」と言って人並みをかき分けて春臣くんを連れ出していた。

……かっこいいな、村田さん。



「風夏、風夏!」

「……ん?」

「誰あのイケメン!?」

「村田さん、春臣くんの友達」

「友達まで国宝級イケメンなの?ヤバくない?」

「類友ってやつだね」



会話しながらその場を離れる。

秋華が興奮気味でよかった。普段の秋華なら私の異変に気がついてたかもしれない。

なんだか、今春臣くんに会ったら泣きそうな気がした。

だって悔しいもん。囲んでた女の子、みんなかわいかったから。