「風夏ちゃん、お待たせ」



それから5分くらいして春臣くんが出てきた。

ってあれ、髪型ちょっと変わってる!



「髪切ったんですね!すっごいかっこいいです」

「うん、暑いから刈り上げた。触る?」

「いいんですか?刈りたて……わぁっ」



前かがみになってくれた春臣くんの後頭部をさわさわ。

へへ、彼女の特権って感じ。



「……あれ、隼の香水の匂いがする」



撫でていたら春臣くんは上体を起こした。

別にやましいことしてないけど、こんな形でバレるとは。

そんなにキツい香水じゃなかったけどな。



「また何か言われた?」

「大丈夫ですよ、むしろちょっと仲良くなりました!」

「……それは、やだ」



安心させたくてそう言ったのに、春臣くんは唇をとがらせた。

かわいい……心臓に悪いからやめてよそんなずるい顔!


「なんでですか?」

「だってあいつ、かっこいいから」

「……ヤキモチですか?」

「……」

「ヤキモチなんですね、春臣くんかわいい」



村田くんに嫉妬しちゃったらしい。

からかったら春臣くんは不服そうな顔でじっと見つめてきた。

あれ、怒った?



「静かにしないと、ここでキスするよ」

「っ、それは勘弁してください」

「はは、俺の勝ち」



人通りがあるからそれはやめて欲しい。

そっと距離を取ったら春臣くんは笑った。

ううっ、やっぱり春臣くんの方が一枚上手だ。