「俺が知ってる風夏ちゃんは、困ってる人を放っておけないくらい優しくて、食べることが大好きな笑顔のかわいい女の子だよ」



傷ついて誰にも癒せなかった心の傷。

だけど春臣くんの言葉は、冷えきった胸の奥に小さな明かりを灯した。

ほのかに温かいその光は暗闇を照らしていく。



「俺の前では自然体でいて。君はかわいいよ」



もう苦しくないはずなのに涙が止まらない。

春臣くんはそんな私を慰めるように頭をなでる。

なんでずっと気付かないふりしてたんだろう。

私、春臣くんのことが好きだ。




「ねえ、俺と付き合って」



だけど先手を打ったのは春臣くんで。



「……え」

「俺、風夏ちゃんが好きだよ。素直で健気で、まっすぐな風夏ちゃんが好き。
だから俺の隣で笑ってほしい」



嘘みたいなことが起きてる。

春臣くんが私のこと、好きって言ってくれた。

私も好き、そう言いたいのに嗚咽が邪魔して言葉にならない。

仕方ないから泣きながら大きくうなずいた。