「本当は別に付き合ってる人がいて、私はただの道具だった……」



影でその会話を聞いていたら、私は騙されていたと気がついた。

後日問い詰めたけど『話しかけんなよデブ』って話す時間さえ設けてくれなかった。

極めつけに本命の彼女の写真を見せつけてきて『こいつに比べたら……お前ほんとブスだな』って。

裏切りと絶望を初めて経験して、その時二度と恋愛しないって決めた。

こんな思いするくらいなら恋なんてしない方がマシ。


……そう思って生きてきたのに、春臣くんに出会ってしまった。

春臣くんは私のささくれた心に優しく寄り添ってくれた。

この人は他の人と違うかもしれない。

そんな期待を抱きつつ、今まで春臣くんをずっと疑っていた。

私に優しくしてくれるわけない、裏があるに決まってると。