「中学の時、半年間付き合った人がいるんです。
その人は私のこと、名前で呼ばずにブスとかデブとかいう人で……」



元カレの名前はヒロキ。私から告白して付き合うことになった同級生。

あんな最低野郎が私の初恋の人だった。

当時の私は初恋の人と付き合えたことに舞い上がっていて、ひどいあだ名をつけられても許していた。



「私はそれを、素直になれない愛情の裏返しだと思ってたんです。
だけど本当は違った」



浮かれて現実を見ないから、ある日私は地獄に叩き落とされた。



「その人、裏で私の事都合のいい奴隷だって言ってたんです。
頼めばなんでもしてくれるパシリだって」



なぜそれを知ったのか。

それはその場面に遭遇してしまったから。

教室で友達と話すヒロキの声。私は声をかけようとしてやめた。


『俺と釣り合うわけねえだろあのブス』


そんな声が聞こえてしまったから。