「誰がそんなこと言わせるようにした?
悪いけどこれ以上黙っていられない。
俺は、風夏ちゃんが無理して笑ってるのを見たくない」



眉を寄せて苦しい表情で思いを吐き出した春臣くん。

初めて怒らせてしまった。

だけど繋いだ手を離してくれない。


不意に鼻がツンと痛くなる。

痛みを自覚した時、頬に何かが伝う。

それが涙だと気がついて、私はとっさに顔を伏せた。



「ごめんなさい私……こんなつもりじゃ」

「風夏ちゃん、俺は逃げないから話して。
何かそうなったきっかけがある?」



逃げないと言ってくれた春臣くんの声に心を揺さぶられる。

そうして私はついに重い口を開いた。