「なんで?」

「ほら、私って春臣くんには釣り合わないし」



ヘラヘラ笑って自虐してばかり。これじゃ中学生の頃の私と変わらない。

私、変わったつもりが全然変わってなかった。

本当の私は卑屈で、努力しないくせに周りを羨ましく思ってばかりで、かわいくない。

……幻滅するよね、こんな面倒なこと聞いて。



「風夏ちゃん、ずっと前から気になってたけど、なんでそんなこと言うの?」

「え……」



だけど春臣くんはいきなり距離を縮めてきて、そして私の手を握った。

恐る恐る顔を上げると、春臣くんは真剣な表情で私を見つめていた。



「他人の評価なんて関係ない。
俺がかわいいと思ってるんだから」



私という人間を、根本から肯定してくれる言葉。

それはずっと胸に刺さって消えなかった痛みを消してくれた。

そっか、私は他人の評価に惑わされない自信が欲しかったんだ。