「あの2人かわいい」

「ね、お似合いだ」



一緒にその様子を見ていた春臣くんも優しい顔をしている。

私も秋華たちみたいになれたら……なんて思ったその時。

立ち止まっていた春臣くんに、浴衣を着た女の人がぶつかってしまった。



「あっ……すみません」

「いえ、大丈夫です」



謝ってきたその人はすごく綺麗な人だった。

……私なんかとは比べ物にならないくらい。




『あのレベルで俺と釣り合うと思ってんの笑える。身の程を知れって感じ』




下品な笑い声と容赦のない罵倒。

なんでこんな時に思い出すんだろう、元カレの言葉。


すっかり忘れていい気になってたけど、あいつの言うことは一理ある。

私は春臣くんにふさわしくない。

周りに比べて自分が劣ってる気がして居心地が悪い。

春臣くん、私が隣で恥ずかしくないのかな。



「あ、会場で一緒に撮ってなかったね」

「大丈夫です。いっぱい撮ってもらったし」

「……どうした?」

「それより、りんご飴食べたいです。屋台探しませんか?」



立ち止まってると目立つ。人の波に沿って歩こう。

私は無理やり笑って歩き出した。